WiLLプロジェクトで果たせなかった夢よ、再び――。トヨタ自動車は、1999年夏から展開された異業種による合同プロジェクト「WiLL」でかつて展開した商品を復活、改めて展開を始めた。商品といっても、クルマそのものではなく、今回はクルマを売るための金融商品や手法である。
走行距離に連動して保険料支払額が変化する新手法
WiLLプロジェクトにはトヨタのほか、花王やアサヒビール、松下電器産業、近畿日本ツーリストの4社が参画し、その後、江崎グリコやコクヨも参入した。商品の全てが「WiLL」のブランド名を冠し、オレンジ色のロゴで統一されていた。しかし、プロジェクトそのものは2004年夏に公式展開が終了している。
トヨタも「WiLL VS」「同Vi」「同サイファ」といった3つのモデルを開発・販売していた。これらのモデルは斬新なデザインと商品コンセプト、先進機能で一部には好評だったものの、合同プロジェクトとしての大きな成果が得られず、現在では、いずれのモデルも販売が中止されている。
トヨタは、こうしたWiLLブランド商品の展開に合わせて、車販売にかかわるプロジェクト専用の金融商品も展開していた。ただ、金融商品としてのコンセプトが斬新すぎたり、大きな損失を抱えてしまったなどの理由で、その後、静かに展開が終了していた。
ここにきて、まず復活したのが自動車保険の支払い方法に関する新しい手法だ。走行距離に連動して保険料の支払額が月次で変化する新タイプの自動車保険で、トヨタではこれを「ペイド」の名称で展開している。商品の概要はこうだ。トヨタのテレマティクスサービス「G-BOOKmXプロ」に加入し、対応した車載機を搭載したユーザーを対象とする。ペイドでは、G‐BOOKの通信機器により自動的にユーザーの月間走行距離を把握、これを基本データとして活用する。保険料は走行距離に関わらず毎月支払う「基本保険料」と毎月の走行距離(1km単位)に応じて支払う「走行分保険料」で構成する。
G-BOOK(ジーブック)とは、トヨタ自動車が提供するテレマティクスサービス。携帯電話やパソコン、車載機などからコンテンツが利用できる。