自転車の「3人乗り禁止」の明文化を警察庁が検討していた問題で、子育てママからの要望が相次いだのを受けて警察庁はこれまでの方針を一転、「3人乗り容認」の方針を打ち出した。ただ、「3人乗りでも安全な自転車が開発されること」がその前提だ。自転車メーカーは、この開発に頭を悩ませている模様だ。
自転車3人乗り禁止に賛否両論
「新型自転車」のデザインはどうなる?(写真はイメージ)
そもそも、道路交通法に基づく各都道府県の公安委員会規則では、自転車に乗せられる6歳未満の幼児は1人とされており、本来ならば、違反した場合は2万円以下の罰金や科料の対象になるのだが、これまでは事実上黙認されてきた。ところが、警察庁は2008年春に自転車の交通ルールをまとめた教則を30年ぶりに改訂することになり、「3人乗りは禁止」と明文化することになった。これに対して、子どもを育てる親たちから「禁止されたら、子どもの送り迎えに非常に困る」といった声が多数寄せられた。この問題をJ-CASTニュースが報じた記事「『自転車3人乗り』禁止 幼児持つお母さん猛反発」でも、
「なんでも禁止、禁止って言う前に現状をもっと把握してある程度の対策をたててから実施するとか・・・もっと考えてほしいですね」
「現実に毎日を自転車で戦ってる母親達には3人乗り禁止なんてキレイ事なんだろうね」
といった、3人乗りを支持するコメントが寄せられる一方で、
「安全面から考えたら止めて当然」
「母親は身勝手」
といったコメントもあり、賛否両論が入り乱れていた。
そんな中、3月4日になって、警察庁が3人乗りを容認する方向に転じたのだ。同日の閣議後の会見で、泉信也国家公安委員長が
「子ども2人を乗せたいとの母親の要望があった」
と経緯を説明。ただし、「安定性が確保できる自転車が開発されること」を、その前提としており、
「自転車の重心を下げるなどの危険防止策を取れないか、業界にも検討していただきたい」
と要望。早速同日、警察庁は業界団体「財団法人自転車協会」に協力を要請した。