パチンコ業界ではギャンブル性を抑制する規制強化で客離れが生じ、さらに消費者金融の法改正でパチンコに使う金額も減少傾向にあると言われる。このダブルパンチだけでも痛いのに、自民・民主両党が協議している「カジノ法案」のあおりで、パチンコの規制強化がさらに進む可能性が浮上してきている。苦境にあえぐパチンコ業界はどうなってしまうのか?
韓国大統領が小沢代表にパチンコ産業の苦境訴える?
パチンコ業界は、遊戯人口がここ10年で1000万人以上も減少し、客離れが止まらない。要因のひとつが、規制強化だ。
2008年2月21日の聯合ニュースは、韓国の李明博大統領(当時は次期大統領)と民主党・小沢一郎代表が同日に会談した際に、「(李大統領が)パチンコ産業の規制が変わり、事業を行っている在日同胞らが苦境にあると聞いたことにも言及し、関心を持ってほしいと申し入れた」と報じている。大統領自らが言及した「規制強化」によるパチンコ業界の「苦境」とは何なのか。
パチンコ店のホールでは、04年7月に施行された遊技規則によって、ギャンブル性が高く人気だった「4号機」が07年6月末までに撤廃された。07年7月からは「4号機」よりギャンブル性が低い「5号機」が設置され、当然のことながらファンが離れ、「業界全体として落ち目になった」との声が聞こえる。
全国のパチンコホールの組合組織である全日本遊技事業協同組合連合(全日遊連)は、J-CASTニュースの取材に対し、
「業界誌等のアンケートによりますと、ファンの30%程度の人が、新規則機が不満なので旧規則機がなくなったら遊戯しない、と答えています。実際、その通りになって来たと思われます。ただし、最近では、業界誌等で、客離れも底を打ったのではないか、との見方も報道されるようになってきました」
と述べ、業界全体として大きな打撃を受けたのは間違いなさそうだ。
さらに、消費者金融の法改正が追い討ちをかける。消費者金融業界では貸出上限金利の引き下げなどを盛り込んだ改正貸金業法成立を受け、貸し倒れのリスクの高い人への融資を一段と絞った。これが、消費者金融を利用してパチンコをしていたファン層を直撃した。
苦境にあえぐパチンコチェーンは、「(1個の貸出料金)1円パチンコ」を導入して新規の顧客を開拓する作戦に相次いで出た。しかし、まだまだ新たにお客がやってくる、という状況ではないらしい。
ある大手パチンコチェーン社員は、
「正直まだ『様子見』の状態です。1円パチンコは今までの客層と違うため、客数が伸びないんですよ。思ったより反応が遅い」
と漏らし、業界活性化の「起爆剤」とは程遠い状況だ。