「英語でしゃべらナイト」「ためしてガッテン」などNHKの番組に関連した雑誌を発行している出版社「アスコム」が突然オフィスを閉鎖した。同社に関連書籍の出版を許諾しているNHKも「連絡がつかないので対応のしようがない」と困惑。まだ民事再生法の申請などは行っていない模様だが、事実上「夜逃げ」だ。2008年に入ってから有名出版社の倒産が相次いでおり、年度末の3月にかけてさらに加速しそうだ。
社員を2月20日付で解雇
アスコムが入居する3階部分に人影はなかった
同社は、02年にアスキーの一般書籍部門が分離独立し「アスキー・コミュニケーションズ」として独立。後にアスキーとの資本関係がなくなり、「アスコム」と社名変更、現在に至っている。ところが、出版業界の専門紙「新文化」が報じたところによると、同社は社員を2月20日付で解雇、翌21日からは営業をストップしているのだという。
J-CASTニュースが同社に対して電話取材を試みたところ、留守番電話に繋がるが、
「アスコムです。本日の営業は終了いたしました」
との男性のアナウンスが流れ、一方的に電話が切れてしまう状態だ。
そこで、08年2月26日午後、東京・麹町にある同社が入居するオフィスビルを訪れると、外から見た限りでは、同社が入居する3階部分には電気がついていなかった。さらに、エレベーターのボタンは「3階」の部分が点灯せず、3階は通過する設定になっていた。階段で3階に行こうとしても、階段スペースとオフィスとは鉄の扉で区切られており、鍵が掛かっていた。
ビルの入り口にも郵便受けにも3階の鉄の扉の部分にも、特に事情を説明する張り紙などはなく、「夜逃げ」状態だ。
NHK関連書籍を出版している会社が「夜逃げ」となれば、視聴者にも影響がある可能性がありそうだ。ところが、NHK広報局広報部に今後の話を聞いてみると、
「アスコムさんが先週頃から活動停止しているというのは聞いています。こちらでも、今後の見通しは分からないんです。アスコムさんが出版しているのは、語学番組のテキストのようなNHKが直接管理責任を負っているようなものではなくて、NHKが番組素材の使用を許諾するなどして協力している『関連本』です」
と話し、視聴者にとって深刻な不利益は起こらない、との見方だ。