再生紙の「環境偽装」で揺れる製紙業界が、大手の新聞社や印刷会社、出版社との「紙」の値上げ交渉をはじめた。原油価格に、木材チップや古紙、製紙薬品といった原材料費の高騰が響き、値上げせざるを得なくなった。現行価格から3~5%ほどの値上げでも大手新聞社では年間数十億円のコストアップとなり、新聞代の値上げに転嫁できないことを考えれば、紙の値上げはそのまま収益を圧迫する。購読部数の減少や広告の落ち込みとあいまって、新聞社もいよいよ大ピンチのようだ。
用紙値上げ、すでに交渉中
読売新聞は1日に約2300トンの新聞用紙を使用する
国内の新聞用紙(巻き取り紙)でシェア約40%を占める日本製紙は、中村雅知社長が新聞用紙の値上げに意欲的であることが伝えられていたが、2008年1月21日のJ-CASTニュースの取材に対して広報担当者は「値上げ交渉のようすはこちらまで伝わってきませんが、営業担当が説明しているところだと思います」と話した。
最大手の王子製紙も「個別の交渉に入っていますが、(値上げの)時機などについてはお答えできません」という。紙の値上げはすでに交渉中だ。
新聞用紙の生産高は製紙業界全体で年間約380万トン(2007年)。そのほとんどが国内で消費されているが、前年比では0.8%の微増だった。日本製紙が07年秋発表した08年3月期中間決算によると、国内の新聞用紙の販売量は前年同期を下回った。王子製紙は出荷量で約113万トン(06年)だったが、こちらはほぼ横ばいで推移している模様だ。
新聞用紙の具体的な価格については日本製紙、王子製紙とも公表していない。王子製紙は「新聞巻き取り紙は大手から地方紙など幅広く、それぞれ交渉しているところなのでお答えできません」と話した。
ただ、値上げ幅については特殊用紙やコピー用紙などの値上げ幅が5~9%程度なので、「(上げ幅は)数%ではありますし、ユーザーさんによって何十円も違うことはありません」(日本製紙)としている。