民放とNHKでつくる「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送倫理検証委員会は2008年1月21日、フジテレビの番組内で「スピリチュアル・カウンセラー」江原啓之さんが登場した企画の一部内容について「制作上の倫理に反するものと判断する」とした委員会決定意見を発表した。検証委は「一方的に『スピリチュアル』といった非科学的なカウンセリングを押し付けていいものか」とも問題点を指摘した。
「霊能師ありきの企画・構成並びにショーアップ」
審議対象は、フジテレビのバラエティー番組「FNS27時間テレビ『ハッピー筋斗雲』」(07年7月放送)内の企画。東北の美容院経営の女性が被災者にリンゴを贈る活動を取り上げた上で、江原氏が「突然」登場し、「女性の亡き父」からのメッセージとして女性の活動を「美容院経営をおそろかにしているもの」との趣旨などで批判的に取り上げた。放送後に女性は同局に抗議した。
J-CASTニュースでもこの問題について07年12月1日、「テレビのスピリチュアル番組 『民放連の放送基準違反』」のニュースを配信した。この際、フジテレビはJ-CASTニュースの取材に対し「BPOからは今月(07年11月)中旬に当該番組について正式に質問書をいただき、弊社としての見解、回答は既に提出しておりますので、現段階でのコメントは差し控えます」と回答していた。
BPO検証委の指摘は辛らつだ。発表内容によると「スピリチュアルカウンセラー(霊能師)ありきの企画・構成並びにショーアップ」「客観的な裏づけに欠ける(中略)断定と強調」「『おもしろさ』を第一とする取材・構成・演出を繰り返し、その結果、人間の尊厳を傷つけかねない番組を放送している」と厳しい意見を連ねた。
さらに、「バラエティー番組だからといって、今回のように出演者の生活に関わるマイナス情報を裏づけも取らずに強調し、その生活に影響を及ぼすような内容の放送をしていいのか」「出演者の心情に気を配った手続きも取らず出演させ、一方的に『スピリチュアル』といった非科学的なカウンセリングを押し付けていいものか」と疑問を投げかけている。「自省を促し、今後の番組活動の資とすることを求めたい」と結んでいる。