住居を失い、インターネットカフェや漫画喫茶で寝泊りする「ネットカフェ難民」が増えているが、東京都は2008年4月から、アパートの入居費用を無利子で貸し付けたり、就労相談にのったりする「ネットカフェ難民サポート事業」をスタートさせる。ネットカフェ難民を対象にした本格的な支援事業は、自治体では初めての試みだ。
厚生労働省が07年8月に発表した調査によると、インターネットカフェなどに週の半分以上寝泊りしている「ネットカフェ難民」は全国で約5400人。そのうち約4割にあたる2000人が東京23区内に集中していると推計されている。東京都がネットカフェ難民の実態調査をしたところ、難民化している理由として「住居確保の初期費用が貯蓄できない」「保証人が確保できない」「非正規雇用で収入が不安定」という経済的な事情があることがはっきりした。
そこで東京都では賃貸住宅に入居するための費用や生活資金として、最大60万円まで無利子で貸し付ける。また専門のサポートセンターを設けて、ネットカフェ難民の生活相談や就労相談に応じる。
サポート事業を担当する東京都福祉保健局は「これまでも路上生活者(ホームレス)の支援事業は行ってきたが、いわゆるネットカフェ難民の場合は20代や30代の若年層が多いなど、違う面もある。賃貸住宅の敷金貸付や就労支援によって、地域生活の新しいステップを踏み出せるようにサポートしてきたい」と話している。