「カローラ」対「フィット」熾烈戦争 07年の新車販売「年度なら逆転か」

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   「暦年では届かないが年度なら逆転できる。(販売ランキング)1位を奪回する」と、ホンダの日本営業本部四輪営業統括部長でもある西前学執行役員は「打倒カローラ」の旗を掲げる。登録乗用車の車名別新車販売ランキングでトップを続けるトヨタ自動車の「カローラ」。ホンダはその座を2代目「フィット」で狙う。カローラとフィットの累計販売台数の差は、残り2か月となった2007年1~10月は約4万2000台だが、残り5か月の暦年では約2万2000台となる。2002年に起きたカローラ対フィットの熾烈な戦いが再来した。

2万2000台の差、「無きに等しい」

ホンダは「フィット」2代目で巻き返しを図る
ホンダは「フィット」2代目で巻き返しを図る

   国内新車市場の新車販売ランキングで、トップ争いを続けているのはスズキ「ワゴンR」とダイハツ「ムーブ」だが、新車販売ランキングで話題となるのは登録車となる。登録車市場で1968~2001年まで33年間にわたって販売トップを続けたのがカローラだ。そのV34を阻止したのが2001年6月に登場した新型車のフィット。フィットは2002年1~12月の暦年累計販売台数が25万790台となり、カローラに2万4568台の差をつけてホンダ車初の年間トップを獲得。さらに2002年4月~2003年3月の年度累計販売台数でも年間トップとなった。

   登録車の年間新車販売ランキングでカローラを打ち負かしたのはフィットだけではない。1999年4~2000年3月の年度新車販売ランキングではトヨタ「ヴィッツ」が1位となり、トヨタ陣営内の争いでカローラは敗れている。しかしカローラと販売台数を争う車はトヨタ車ばかりの状況にある。登録車の年間販売シェアが45%を超える巨人トヨタに、ランキング争いで勝てる車は存在しないと思われていた。とくに20車種以上が売られているコンパクト2ボックス車で台数を伸ばすのは難しい。

   2007年4~10月のフィットの累計販売台数は前年同期比3.3%減の5万4400台。対するカローラは同4・7%増の7万6690台。カローラは2006年10月にセダンとステーションワゴンがフルモデルチェンジしたこともあり、前年同期の販売実績を超えている。だが、かつてカローラの販売を押し上げた「カローラ スパシオ」は生産中止となり、現在のラインアップはセダンの「カローラ アクシオ」とステーションワゴンの「カローラ フィールダー」、それに2007年10月に加わった新型2ボックス車「カローラ ルミオン」の3車型となる。

   1車型だけならカローラの販売ランキング1位はありえない。ホンダの福井威夫社長は「販売1位をとるためにフィットをつくっている訳ではない」と言うものの「うち(フィット)は1車型。フィット アリアは数に入れていない」と実際にはカローラに勝ち続けていることをほのめかす。もちろんフィットのセダンであるフィット アリアはタイで生産した輸入車になるため、日本自動車販売協会連合会がまとめている国内登録乗用車の新車販売ランキングでは対象外。それ以前に販売量が僅かで大勢に影響がないということもある。だが厳密に言えばカローラは3車型によるカローラシリーズであり、登録車の新車販売ランキングはフィットとヴィッツの争いになっているわけだ。

   この状況下でトヨタは10月9日、カローラシリーズに新開発のカローラ ルミオンを加えて発売した。モデルライフの平均月販計画は3500台で、立ち上がり1か月間の受注目標は7000台、12月末までの累計受注目標は1万2000台を掲げた。トヨタの渡辺捷昭社長はカローラの名称を与えた点について「名前については十分協議した結果だ。(カローラの)1位に拘っているわけではない」ことを強調する。カローラの名前がつくことで新開発車の知名度が上がることを期待しているのだ。

   カローラ ルミオンの発売後1か月間の受注台数は、約8千台と平均月販計画の2倍強を獲得して受注目標を上回っている。2007年度の新車販売ランキングのトップ争いは「フィットは年間15万台の販売を見込んでいる」(西前ホンダ執行役員)というように15万台を超えることがポイントとなる。カローラ ルミオンの追加でカローラシリーズの販売台数は、2006年度実績の14万7874台を超えるのが確実視され、新車販売ランキング1位の5年連続達成を目指して販売系列トヨタカローラ店の販売にも力が入っている。

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