東京ガスと大阪ガスが9月中間期決算にあわせ2007年10月29日に発表した08年3月期の業績見通しによると、連結経常利益で東京ガスを大阪ガスが上回ることになった。こうした逆転現象は過去1度だけ。岡三証券のアナリスト宮本好久氏は、「東京ガスの(今期の経常利益見通し)の下方修正はある程度予想されたことですが、大阪ガスを下回る結果は、マーケットではかなりショックな出来事です」と話す。東京ガスと大阪ガスの「差」はどこにあるのだろうか。
管理コストをどう抑えるかもカギ
東京ガスは減益の幅が40%を越えた
東京ガスや大阪ガスなど都市ガス4社は10月30日、2008年1~3月のガス料金を値上げすると発表した。ガス料金の改定は原油やLNGなどの価格変動を3カ月ごとに反映する仕組みになっていて、今回の料金改定は原油やLNGなどの価格が上昇したことが要因だ。
ガス会社の利益は原油価格など原料調達コストの上昇分と、原料費調整(スライド)制度で決められるガス料金の改定の「ずれ」が大きいほど赤字になる。つまり、どれだけ効率的に原料を調達し、また管理コストを抑えられるかに、経営手腕が問われるわけだ。
中間決算で明らかになった東京ガスの売上高は前年同期比5.5%増の6369億円だったが、営業利益は同47.1%減の331億円。最終利益が45.0%減の198億円と大幅な減益となった。
通期(08年3月期)見通しでは、営業利益を7月の公表時点に比べて240億円減の810億円(前期比50.1%減)、最終利益も同140億円減の540億円(同46.4%減)にそれぞれ下方修正した。
一方、大阪ガスの売上高は前年同期比2.0%増の5436億円となり、中間期では過去最高を更新した。ただ、営業利益は前年同期比12.8%減の388億円。経常利益では同7.1%減の421億円、最終利益は同8.2%減の254億円でこちらも減益となった。通期見通しは、営業利益で845億円、経常利益で830億円、最終利益は490億円と据え置いた。