「頭を切断しても生きている」 ゴキブリ伝説は本当なのか?

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   これほどまでに人類に忌み嫌われる虫がこの世にいるでしょうか。「頭を切断しても生きている?」というほどの生命力――。そして、「絶対に目を合わせてはいけない」「掃除機の中でも産卵する」といった「俗説」の類まで登場している。もし、これが全部本当だとしたら・・・考えるだけで卒倒してしまいそう!

瞳に反応し飛んでくる、という情報がネットで広まる

   約3億年前から生存しているとも言われる強靭な繁殖力をもつゴキブリ。そのゴキブリを撃退する「裏技」があるらしい。小林製薬のホームページにある特集コーナー「暮らしのヒントお知らせ隊」ではこんな「裏技」とそれにかかわる情報が紹介されている。

「不幸にしてゴキブリに出会ったら、絶対に目を合わせないでください。ゴキブリは瞳の反射に対して反応するようなので、目を合わせないことで寄ってくるのを防げるかもしれません」
「ゴキブリは脳が胸にあるので、頭を切断しても1週間ほどは生きていけるとか。頭を潰したからと安心してゴミ箱に入れると中でゴソゴソ動いて、ビックリするはめになりますので注意してください」
「掃除機を使ってゴキブリを退治したとしても、掃除機内から出てくる可能性もあるので注意して下さい。仮に掃除機内で死んでしまっても雌なら産卵する可能性もあるので、吸い込んだゴミや紙パックは早めに破棄しましょう」

   小林製薬によれば、「All About」に掲載されていた「節約アドバイザー」の撃退法を参考にしたとのこと。確かにこの「節約アドバイザー」も「人間の瞳の反射に反応して、向かって飛んでくることがあるそうです」「(掃除機で)吸い込んだその時は気絶していますが、大抵はすぐに元気になって出てきます」などと書いている。 この情報はネット上でも広まっており、「絶対目を合わせない」などといった反響を呼んでいる。しかし、この話は、本当なのだろうか、単なる噂話なのだろうか?
   そこで、ゴキブリをはじめとした昆虫の生態学を研究している専門家に聞いてみた。「目を合わせると瞳に反応するのか?」との問いには、こんな答えが返ってきた。

「識別能力や記憶学習能力があるのは分かっていますが、複眼なので『眼』の解像力は昆虫一般に高くないです。ゴキブリは腹部末端にある尻葉という部分や触覚で振動や風を感じるのですが、そういった動きには敏感です。(『目を合わせて~』というのは)身じろいで微妙な風になって感じるということなのでは。原因が(目を合わせることなのか)分からないですからね~、無風状態のなかで是非、実験してほしい!(視力で)そこまでの識別能力があったらおもしろいですよねぇ(笑)」

頭部だけを切り落としても、「かなり長く生きる」

   ただ、「頭を切断しても生きている」説は正しいようだ。「脳」とされる部分は頭部にはあるのだが、ゴキブリの胸部には「食道下神経節」という脚のモーターコントロールの役目となる部分があるため、頭部だけを切り落としても、「かなり長く生きる」とのことだ。ただし、頭部の重要な神経節を失うので、多くの活動が制限され、当然ながら生き返ることはない。
   では、掃除機で吸っても「生きて出てくる」、「産卵する」説は正しいのだろうか?

「研究室でゴキブリが逃げ出したら掃除機で吸ってますよ。(研究に使うのは死ににくい)元気なゴキブリじゃないといけませんからねぇ(笑)」

   掃除機を「強」モードにして吸えば100%とはいえないものの大抵は死ぬようだ。さらに、ゴキブリは卵を1ずつ産み付けるような産卵の仕方ではないため、掃除機のなかでゴキブリの卵が孵化することは考えにくいという。

   「頭を切断しても生きている」は別にしても、「絶対に目を合わせてはいけない」「掃除機のなかで産卵する」は、どうやら人間のゴキブリに対する恐怖心から生まれた「俗説」の可能性が高そうだ。

   そんなしぶとい生物を寄せ付けない商品が開発された。
JFE鋼板は2007年9月20日、アース製薬石原薬品などと共同でゴキブリを寄せ付けない防虫鋼板(商品名「サニータ」)を開発したと発表した。防虫鋼板「サニータ」のメカニズムは、防虫鋼板にゴキブリなどの昆虫が触れると、触角、脚、口器などから極微量の防虫剤に触れて、感知し、1~3分程度で異常行動を誘い、防虫鋼板の表面から逃げ出すというもの。効果が10年ほど続くことが期待でき、冷蔵庫や電子レンジやパソコンといった電気製品や飲食店・食品工場の設備の材料として使われることもありそうだ。
   「頭を切断しても生きている」かどうか、などと考えなくてすむ時代が来るのだろうか。

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