中国産の食品に対する不信が止まらない。中国からの主要野菜輸入も前年の3割以上も減少したという。事態を重く見た東京都は、2007年8月から中国産食品の緊急検査をした。ところが、「違反食品の報告が1件もない」のだという。厚生労働省も「検査を徹底しているため、違反品が市場に出ているとしても、ごく限られたもの」なのだそうだ。これってホントなの?
「中国産だから危ない、ということはないのです」
厚労省担当者は「中国産だから危ない、ということはない」と語る
「中国」と名の付いた食品会社の中国食品工業(本社:岡山市)は、名前が原因で客離れが起こり2007年8月31日に倒産に追い込まれた。この「中国」は日本の中国地方の「中国」で、いわばとばっちりだ。
厚生労働省の統計では、06年6月から07年5月までの輸入食品の検査で、残留農薬検出など食品衛生法違反が見つかったのは761件。前年同期の91件と比べ実に8倍以上になった。うち一番多いのが中国で250件。ベトナムの143件、エクアドルの93件と続く。なぜこんなに増えたのかといえば、06年4月に「ポジティブリスト制度」を導入し、輸入の基準を厳しくしたからだ。もちろん違反した食品は廃棄などの措置が取られ、市場に出ることはない。
それにしても中国産の違反が突出しているわけだが、07年9月1日付の日本経済新聞は、厚生労働省のこんなコメントを掲載している。
「中国産食品の輸入届け出件数に対する残留農薬など違反発見率は0.6%で、米国からの輸入品(1.0%)より低い。同省は『輸入量を考慮すると違反率は高くない』とみる」
J-CASTニュースは中国産食品の危険性について、厚生労働省輸入食品安全対策室に取材した。担当者は、中国から違反食品が輸入されても、網の目をかけるように検査をし、違反しているものは市場に出ないようになっている、と説明。
「100%できている、と言うつもりはありませんが、諸外国から嫌われるほど厳しく検査していますので、中国産だから危ない、ということはないのです」
とも言うのだ。それではなぜこんなに中国産が嫌われているのか。
同担当者は個人的な見解として、07年夏に消費が激減した中国産うなぎの例を出した。中国産うなぎ離れはアメリカが発端。米食品医薬品局(FDA)の07年春の検査で、福建省産ウナギから合成抗菌剤「マラカイトグリーン」が基準以上に出たため輸入を止めた。これ以降、アメリカでは中国産食品に対するバッシングが加熱するのだが、
「日本国内では『アメリカであんなに厳しいのに、日本は検査が緩い』という声が大きくなるわけです。しかし、日本はもともとアメリカ以上に検査に厳しい。それがうまくPRできずにいる」
さらに、中国での「ダンボール入り肉まん」「人工卵」「髪の毛で作った醤油」といったトンデモ情報が連日報道され、中国産は「いんちきで、危ないもの」というイメージが植えつけられたのではないかという。