2007年夏は記録的な猛暑で、史上最高気温40.9度の町が2つも出た。うんざり、げんなりするところだが、この暑さを逆手にとり、「日本一暑い街だ!」とPRして街を活性化させようとする自治体が次々と現れた。先陣を切ったのが熊谷市で、「あついぞ!熊谷」のオリジナルTシャツ4,000枚を完売。イベントも進行中で「熱く!燃える!親父バンドライブ」「絵看板でばくはつだ!!」などブッ飛んだネーミングが付けられている。
「燃えよ!!くまがやん」
熊谷市では「あついぞ!熊谷」事業を展開している
熊谷市は暑いだけでなく湿度も高い。それを吹っ切るかのように「体温より熱いまち熊谷」などのキャッチフレーズと、太陽が暑さで目を回しているキャラクター「あつべえ」を登場させ、街の活性化策に05年から取り組んでいる。市民提案型の「お祭り」のようなもので、07年は市民によるイベントやグッズ販売の企画が60近く用意されている。そのネーミングがふるっていて、例えば、健康的で快適な生活への取り組みを提案する「燃えよ!!くまがやん」。介護予防体操「熱いぞ!ほうぼらじゅうエクササイズ!」。にんじんを使った赤いパウンドケーキ「キャロットパウンド 小麦のハートが燃え出した」。また、航空自衛隊熊谷基地による「あついぞ!熊谷 もっと熱いぜ 俺たちは!」という横断幕作製、花火の打ち上などもある。
熊谷市役所の政策調査課によれば、「あついぞ!熊谷」街づくり事業は、暑さを貴重な地域資源とプラスにとらえ、市民みんなで街づくりをしようと企画されたものだそうだ。当初は、
「暑さをアピールすればイメージが悪くなって転居してくる人が減る」
という批判もあったのだが、「変な市民の一体感」が生まれ、市民の手によるイベント企画が続々と登場、なかなかの盛況ぶりだという。同市は07年8月16日に多治見市と同時に40.9度という日本での最高気温を更新した。この時に各局のテレビクルーが撮影に入ったが、
「この事業を始めていなければ『暑い』『嫌ですね』などのコメントに終始していたと思いますが、イベントの盛り上がりも放送してもらったことで、熊谷のいいPRになった」
と同市の政策調査課は話す。