株主総会の集中日が近づいているが、パソコンや携帯電話から株主総会の議決権を行使できるようにする企業が増えている。証券代行業務を受託する三菱UFJ信託銀行、住友信託銀行、中央三井信託銀行の専業3社で、この株主総会にネットでの議決権行使を採用した企業は355社になる。各社の広報担当者は、「採用する企業は年々増えています」と口をそろえる。
ネットでの議決権行使は、2002年4月1日に施行された改正商法で実現。三菱UFJ信託は、「その年の12月時点では25社が採用しただけだった」(当時の三菱信託とUFJ信託の合算ベース)と話す。その後、年20~30社ほどが採用してきたという。
全体の株主数の1~5%程度の利用
ネット経由での議決権行使が増えている
三菱UFJ信託によると、採用する企業は「株主重視の一環として採用されているようです。個人株主が増えるなかで、仕事などの都合で総会に出席できない株主にも議決権を行使してもらおうということです」と、その狙いを説明する。
委託を受ける信託銀行などにもメリットはある。株主総会では、紙ベースで1票1票を数えるので、かなりの手間がかるとともに煩雑になる。ネットであれば集計も自動的に行われるので作業しやすくスピーディーだ。企業は、株主に議決権を行使しやすくすることでよい印象を植えつけることができる。「(採用する企業は)今後も増えるでしょう」(三井トラストホールディングス)。
ところが、ネットで議決権を行使する株主は「企業によりますが、全体の株主数の1~5%程度です」(住友信託)と、実際の利用状況は少ないという。住友信託は、「いわゆるモノ言う株主が出席する企業などでは、わざわざ休みをとって出席する個人株主もいます。とくに最近は、かえって出席者が増えている印象です」と話す。