米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き去り、世界一メーカーの座が目前のトヨタ自動車。だが、そのトヨタにも思い通りにいかない悩みがある。「足元の日本国内市場で車が売れない」問題だ。
軽自動車を加えても国内市場全体が収縮している
米国での売り上げは好調なのだが…
トヨタ自動車の2007年3月期連結決算は、売上高が前期比13.8%増の23兆9480億円、営業利益は同19.2%増の2兆2386億円と、いずれも過去最高を更新した。5年で1兆円から2兆円に倍増した営業利益が、世界に急拡大するトヨタを象徴している。
最大市場の北米では、ガソリン価格の高騰を背景にハイブリッド車をはじめとする燃費性能の良さなどが評価されて、販売台数は294万台と、GMをはじめ米ビッグスリーの苦戦を尻目に、前期比15%という大幅な伸びをみせた。欧州も同20%の増と、欧米の先進市場で躍進が続く。
だが、国内での販売は2年連続の減少だ。ダイハツ工業、日野自動車を含めたトヨタグループ販売は前期比同4%減の227万台と、米国販売との差が広がる一方だ。国内市場全体の落ち込みより減少幅が小さかったため、トヨタのシェア(軽自動車除く)は過去最高の45.8%まで上昇したが、トヨタ車単独で11万台の減では、シェア上昇も手離しで喜べない。
国内の自動車需要(全需)は、2006年度の軽を除いた日本国内の新車販売は前年度比8.3%減の358万台と、29年ぶりの低水準だ。登録車市場の低迷の原因としては、経済性や実用性を求めて軽自動車に人気が移っている影響とされてきた。しかし、軽を加えても同4.1%減の561万台であり、国内市場全体が収縮していることが鮮明になっている。
「トヨタに限ったことではなく市場全体が抱える問題だが、どれだけ自動車メーカーの経営がグローバル化しても、ホームランドである自国の市場で調子が振るわない企業の繁栄が長続きするはずがない」と、関係者は厳しい表情で語る。