楽天がTBS株を議決権ベースで20%以上取得する、と発表した。買い増しを通告した際に提出された「買付意向説明書」には意外な「株主提案」が含まれていた。「コンプライアンス体制が十分でないため、第三者機関の設置を提言する」とも受け取れる内容だ。
楽天は2007年4月19日、19.86%保有しているTBS株を「20%を若干超える程度」まで買い増すと発表し、TBS に通告した。連結決算で持分法の対象となる20%以上を取得し、自社の連結決算にTBSの利益を反映させることを視野に入れた買い増しだが、これにTBS側も不信感をにじませているようだ。
「全社的なコンプライアンス体制の確立が不可欠」
楽天は第三者機関の設置を提案した?(楽天が入居する六本木ヒルズ)
それを物語るような出来事を、4月20日付の産経新聞は「関係者」の話として次のように報じた。
「楽天の國重惇史副社長がTBS株式を0.79%買い増した通告と併せ、20%超の株式買い増しの意向説明書を持参。報告を受けた井上社長は、激怒したという」
しかし、TBSが不快感を示したのは別の理由からだ、と推測する声もある。
それは、楽天側がTBSに買い増しを通告した際に提出された「買付意向説明書」に書かれていた。「貴社の放送局としての公共的使命に対する考え方」と題された文章で、この箇所は、買い増しに直接的に関わる他の文章と比べて明らかに性質が異なる。
そこでは、楽天側が放送法第1条、第3条と第3条の2を遵守されることが「極めて重要」だと考えている旨が述べられ、また、放送番組の捏造が放送事業者の信頼低下が危惧される状況を述べた上で、次のように「コンプライアンス」を問題にしている。
「各放送事業者においては、放送法に基づき設置が要求される番組審議会により、番組制作に対する一定の監視が行われていると推測されますものの、放送事業者に対する一般の視聴者の皆様の信頼回復及び維持を図り、ひいては放送事業者としての社会的責任と公共的使命を実現させるためには、経営レベルにおいても、全社的なコンプライアンス体制の確立による事業活動の規律維持が不可欠と考えます」