経営再建中のダイエーグループの利益の多くを稼いできた"虎の子"のOMCカード株が売りに出された。OMC株はダイエーの有利子負債を圧縮する手段として、これまでも売却のウワサが浮いては消えていた。
2007年4月11日付の日本経済新聞はOMC株の譲り受けに、三井住友フィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループと業務提携しているクレディセゾンが名乗りをあげたと報じた。他にも外資系投資ファンドなどが手を上げるとの報道もあるが、「メガバンクの三つ巴だろう」(銀行系クレジットカードの幹部)と見る向きが多い。
ダイエーはグループが保有する約53%の株式のうち、約31%を売却する計画で、落札すればOMCの筆頭株主になる。OMC株の売却益は約700億円で、ダイエーは2月末時点で約2200億円あった有利子負債の返済に充てる予定。クレディセゾンやイオンクレジットと並ぶ、流通系クレジットカードの大手であるOMCカードだが、その売却先しだいではカード業界の枠組みがほぼ決着するとの見方がある。
規模のメリットが生き残りの条件
ダイエーグループ”虎の子”のOMCカードが売りに出された
クレジットカード業界はショッピングの利用が頭打ちとされる一方で、ICカード対応などのセキュリティ対策や電子マネー対応にかかるコストアップや、キャッシング利用が上限金利の引き下げなどで収益減が見込まれるなど厳しい収益環境におかれていて、「生き残りには規模の拡大が条件」(カード関係者)といわれている。
「銀行系」と呼ばれるクレジットカードには、旧三和銀行と親密だったJCB、VISAの三井住友、DCの三菱UFJ、みずほ系のUC(マスターカード系)がある。会員数でトップのJCBは約5770万人を擁する。DCはこの4月の合併で「三菱UFJニコス」に看板が替わり、会員数は3000万人を上回る。また、みずほ系のUCカードは流通系最大手のクレディセゾンとの提携で総会員数は2500万人を超える。業界内では将来的には信販系のオリエントコーポレーションがこれに合流すると推測している。
流通系や信販系を吸収、あるいは業提携しながら規模拡大に走る三菱UFJ、みずほに対して、三井住友は後れを取った観がある。三井住友カードの会員数は約1500万人。OMCカードの会員数は約600万人で、「カード会社では最後の大型案件」(前出のカード会社幹部)といわれる。「(三井住友が落札できないと)水をあけられ、ちょっと厳しくなるのではないか」(カード関係者)とみている。