タレントのユンソナさんがソウル市内で開いた記者会見で、「歪曲された日本の歴史教育に傷つき苦しみました」などと話したことが報道され、ネット上ではこれを「反日発言」だとし、ガッカリしたというコメントが並んでいる。しかし、過去の報道を調べると、彼女が豹変したわけではなく、どうやら考えは一貫していたらしいのだ。
日帝時代の胸が痛む話を皆聞いて育った
「東亜日報」の記事が騒動の発端だった
ユンソナさんは8年ぶりに韓国ドラマに復帰することが決まり、2007年3月20日にソウルのテレビ局SBSで記者会見が行われた。問題の発言を韓国の3大紙「東亜日報」が同日に電子版で掲載した。タイトルは「歪曲された日本歴史教育に悩み苦しんだ」。そこにはこんなことが書かれている。
「日本の番組に出演しながら文化的差をよく感じた。『私達は教科書で日帝時代や (慰安婦だった) お婆さんたちの胸が痛む話を皆聞いて育ったが、私と同じ年齢の日本の友達はよく分からない人が多い』と切なさを現わした」
「日本で一番聞かれるのが『韓日戦になぜ韓国の人は熱狂的になるのか』です。歴史的な流れを知っていれば容易に理解できることなのに。『ただ日本に負けたくないだけなのではないか』と言われた時は悩み苦しんだんです」
「日本で働きながら韓国の大事,家族の大事さをもっとたくさん感じました」
こうした一連の発言を、「週刊新潮」(07年4月5日号)、「週刊文春」(同)、「週刊ポスト」(同13日号)が相次いで取り上げた。「週刊ポスト」は「ユンソナが韓国でぶちまけた『反日発言』全部書く!」という見出しの記事で、
「今まで日本のテレビ番組や雑誌のインタビューで話していたことと全然違うじゃないですか」
などファンの怒りのコメントを掲載した。
日本のユンソナファンはこうした報道にショックを受ける人も多いのだが、実は来日した頃から日本に対しての感情はあまり変わっていない。
「朝日新聞」の02年2月9日の記事には、日本行きを決めた時の両親の反応について、
「娘の日本行きに反対しなかった。反日感情はあるけど、日本で成功したいと願う娘に『行くな』と言えなかったのでしょう」
と反日家庭であることを証言。さらに、
「祖母から従軍慰安婦の話を聞かされたことがある。『心が深く傷つき、結婚もできず、今でも病院に通っている人の話を聞いて泣いてしまいました』」
と、今回の韓国での記者会見で述べたのと同じ事を話している。
「私は必ず韓国人男性と結婚したかった」
こうした記事は他にもあって、02年12月9日付けの「スポーツ報知」には、
「(日本に対し)怖い。過去の歴史もあるし重いイメージがあった。現在も、『ワリカン』など過度の遠慮にもどかしさを覚えることは多々ある」とコメントした。
韓国人男性と結婚が決まり、「東亜日報」の電子版06年7月7日には、
「『周囲の人たちからよく‘結婚相手は日本人か’と聞かれた』と述べた後、『私は必ず韓国人男性と結婚したかった』と語った」
つまり、「初心」を貫いたのだ。
さらに、韓国のメディアにはこれまでも様々なコメントを出している。朝鮮日報にはこんな具合だ。
「日本の番組で『君の国は貧しいからそうなんだろう』と、ひどいことをいわれ、その人は冗談だといったが、そのときとても頭にきたので放送中にすごく怒ったこともある。外国にいると愛国者になるのは当然」
「02年の韓日ワールドカップサッカーのとき、日本で活動をしながら『わたしはお笑いの人なのかしら』と半年ごとに悩んだ(中略)家族の大切さを知った。自分の国の大切さも。外国で暮らしてみなければ、絶対に分からない」(いずれも朝鮮日報06年7月10日付け)
もっとも、彼女の所属事務所は「週刊新潮」の取材に対し、
「日韓の橋渡しをしたいというのが、彼女の希望ですからね。日本が嫌いということはありません」
と、「反日」を否定している。