東京都選挙管理委員会は2007年4月5日、YouTube(ユーチューブ)に登録されている都知事候補の政見放送画像を削除するよう要請した。「一部候補の政見放送だけが閲覧できることは、候補者間の平等性を保つべきだという一般論として望ましくない」という理由からだ。テレビ局の候補者座談会などではお見かけしない一部候補が、絶叫しまくり、ここでは圧倒的に人気なのだ。
1候補に85万6,000回再生
4月8日投開票の東京都知事選。結果はどうなるか。
東京都選管によると、公職選挙法に基づく警告も検討したが、「選挙運動ではなさそう」などの理由から協力要請に止めた。4月5日午後に、ユーチューブへ電子メールとファクスで動画の削除を求めた。4月6日17時現在、ユーチューブからの回答はないといい、ネット上でも削除されていない。
同選管は、動画ブログサイトも運営するサイバーエージェント(東京・渋谷)に対しても4月5日夜、関係動画の削除を要請。同選管と同社広報IRグループによると、4月6日午前10時半ごろまでには削除したという。
問題になっている映像は、一風変わった選挙ポスターでも話題になっている男性候補の政見放送。独特の風貌で画面をにらみつけ、絶叫口調に近い話し方で独自の主張を展開する。政見放送の本人の声と人気アニメ登場人物の声を入れ替える加工などをした映像が投稿されたこともあって、閲覧する人も増え、20画像で延べ85万6,000回以上再生された。もっとも、加工映像を見ると、「応援」というより「ちゃかしている」感じだ。
ほかの候補の「政見放送」の画像はないようで、都選管も「基本的に1候補の映像だけが流れていた、と認識している」という。
本人は「自分の画像、いくつか見ました」
この映像問題は「2ちゃんねる」でも複数のスレッドが立っている。「笑いのために供託金300万円を捨てたんだ」「単なる目立ちたがり屋」など批判的なカキコミが多い。一方、「(全員で14人の)候補者の大半を無視するマスコミの姿勢に異議」「テレビ局は、なんでこの人たちを討論会に出演させないんだ」など「マスコミ批判」は、比較的多く寄せられている。
問題のこの候補は4月6日夕、J-CASTニュースの取材に対し、「現状では選管の立場は分かる」とした上で、「今回のことはともかく、今後、インターネットと選挙の関係は、もっと考えた方がいい」と語った。ところで自分で加工された自分の画像は見たのか。「いくつか見ました。特に不愉快な感じは持ちませんでした」。
画像は消されるのか、残るのか。同選管も「選挙とインターネットの関係は、日本と米国で違いますからね」とユーチューブ側の「反応なし」も視野に入れている。