日本航空は中期再生プランを2007年2月6日に発表したが、一番話題になっているのは「西松遥社長の年収960万円」という項目だ。この額は上場企業の社長では間違いなく最低レベル。日航のパイロットの平均年収1,954万円の約半分で、部長級の年収でも低い方だという。さらに社長室、役員室を無くし「大部屋」で仕事をするほか、専用車も廃止し西松社長は「電車通勤」するのだという。
日航が07年2月6日に発表した07年度から4年間の中期経営計画「再生中期プラン」によると、グループ人員の約8%に当たる4,300人を削減し、ボーナスカットなどを含め人件費を約500億円圧縮。名古屋(小牧)―北九州など不採算の地方の10路線を07年4月以降に廃止し、10年度に880億円の営業利益を目指す、などとなっている。06年3月期決算で268億円の営業赤字を計上し無配に転落したが、10年度までに復配できない場合、西松遥社長は辞任する考えで、同日の記者会見では「退路を断って取り組む」と決意を語った。
電車通勤は「元に戻っただけの話し」
JAL、再生プランで再び「離陸」できる?
この記者会見で最も注目を集めたのが「年収960万円」「社長室を含めた役員の個室の撤廃」「役員全員の電車通勤」である。これで社長としての体面を保っていけるのか、心配になるが、西松社長は会見後、記者に囲まれた時に電車通勤について「元に戻っただけの話しです」と、電車通勤はもともと経験済みだとし、記者たちを笑わせた。
自ら「罰」を課したような西村社長だが、これが単なる話題作りやパフォーマンスなのでは、という指摘が一部のマスコミにはある。
日航の広報はJ-CASTニュースの取材にこう答えた。
「『自分が勝手に決めたことなんで』という言い方をしていますが、社員が辛いなら自分も一緒になって辛い思いを分かち合おうとしているんです。自分のそうした姿を社員に見せることによって、社員がどう感じるのかを自分自身で受け止めたいと思っているのだと思います」
役員報酬については07年2月から全役員が45%~60%カットになるが、西松社長は1,000万円を12ヶ月で割り切れる額として自分で960万円と決めた。
上場企業の昼の移動は社有車で行うが、専用車は廃止し「時間の余裕が無い時以外は電車通勤になります」(同社広報)という。大企業の社長だけに不測の事態が起こる可能性もないとはいえない。ただ、ガードマンを付けたりすると、かえって高くつきそうだ。