ここ数年、「日本人が海外の病院で治療を受ける」というケースが相次いでいる。渡航先として有名なのが、タイだ。同国の首都、バンコク中心部にある私立病院には、視力矯正や健康診断を受けに日本人が大挙してやって来る。その数4万人。理由は何なのか。
年に4万人強の日本人を受け入れている
バムルンラード国際病院のウェブサイト。日本語にも対応している
タイ国内でも最高級とされるのが、「バムルンラード国際病院(554床)」で、外来・入院合わせて年に4万人強の日本人を受け入れている。同病院は1980年、財閥系のグループによって設立され、97年のアジア通貨危機をきっかけに、外国人患者の割合が増えるようになった。
タイ人の患者が、私立病院である同病院よりも治療費の安い公立病院に取られてしまったからだ。さらに、01年9月の同時多発テロをきっかけに、アラブ諸国の国民が米国のビザを取りにくくなったこともあって、アラブ系の患者の数も増えている。現に、外国人患者で受け入れが多いのは、米国、アラブ首長国連邦(UAE)、バングラディシュ、オマーン、日本の順となっており、「アラブの富豪」が相当数、同病院を訪れていることがうかがえる。
患者数では5位にランクインしている日本人だが、その内訳はというと、7割がバンコク市内在住で、残り3割が日本や近隣諸国からやってくるのだという。同病院では、J-CASTニュースに対して、
「日本や近隣諸国からの患者さんは、観光などとあわせて、体のメンテナンスをする、という意味合いが強いようですね」
と話している。ここで「メンテナンス」という言葉が登場するのには理由がある。同病院では、「美容外科パッケージ」など多くのコースをパック料金で提供しているが、その中で「健康診断パッケージ」の利用が8割を占めるのだという。