ウェブ上で利用者自身がパック旅行を組み立てられる「ダイナミックパッケージ」(DP)が2007年にブレイクするのではないかとマスコミが騒いでいる。「日経トレンディ」07年1月号でも07年ヒット予測ランキングの6位に入っている。ただ、旅行業界の現場では半信半疑といったところだ。
従来のパッケージツアーの場合、出発日や乗り物、宿泊施設、見学場所、移動手段は、あらかじめ旅行会社が決めているが、DPは利用者個人がインターネットを使い、出発日、乗り物、宿泊施設など自分で選べる。申し込みから決済まで全てインターネットでできるから、店舗に行く必要がない。
米国ではネット旅行販売の90%以上がDP
ANAセールスのDP「旅作」は、発売開始5 か月で予約人数が1 万人を超えた
しかも、24時間いつでもサイトが開いていて、価格はパッケージツアーとほぼ同じだから、便利で割安に旅行が組み立てられるのだ。アメリカではネットで旅行を買う場合90%以上がDPなのだという。
日本では現在、JTB、ANAセールス、楽天トラベル、グローバルトラベルオンラインなどがこのサービスを行っている。ANAセールスは06年6 月29 日からDP「旅作」をスタートし、発売開始5 か月で予約人数が1 万人(販売額5 億円)を突破した。同社広報はJ-CASTニュースに対し、
「当初計画した販売ベースには乗っている。6~8月こそ利用者は少なかったが、秋以降は認知度の高まりと共に売り上げが伸びた。初年度の利用が5万人程度いくと思う」
と「好調」なスタートをアピールするが、ANAスカイホリデーの利用客が年間210万人であるのに比べれば、まだ利用客は少ない。
旅行会社側としても申し込みから決済までネットで完了できるため、既存のツアーに比べ対面対応に必要な人件費や、紙のパンフレット、契約書もいらず、経費節約になる。また、目新しい商品のため話題になりやすい。利用者にも旅行会社にもメリットは大きいように見えるのだが、大手旅行会社にとっては、それほど期待できるものではないようだ。
JTBは05年6月に「組み立て旅行」としてサイトをオープンした。同社広報はJ-CASTニュースに対してこう話す。
「『ヒットするだろう』という言葉だけが一人歩きしていまして、実績はまだなんですよ。うちのネット取引のまだ2~3%にすぎません。アメリカではDPが主流と言っても、日本とは状況が違いますから」