評論家の池内ひろ美さんのブログが「炎上」している。トヨタ自動車の期間工について書いた日記の中で、「彼らは『トヨタ』を漢字で書くことができるのだろうか」などと発言したことが、発端だ。現在では該当する日記は削除されているが、その前日に池内さんが書いた日記のコメント欄に批判のコメントが殺到している。
池内ひろ美さんは、1961年生まれの夫婦・家族問題に詳しい評論家。テレビなどマスコミへの露出も多い。
「彼らは『トヨタ』を漢字で書くことができるのだろうか」
池内ひろ美さんのブログ。削除を固辞するもあえなく炎上
問題となったのは、池内さんのブログ「池内ひろ美の考察の日々」のなかの「期間工(トヨタ)」と題された06年10月19日の日記。名古屋で池内さんが「会社経営者」「医者」の友人と居酒屋に行き、そこで出会ったトヨタ自動車の期間工(期間従業員)とのやりとりが書かれている。それは次のような内容だ。
「彼らは、なぜ私たちに声をかけたのか。『お姉さんたちって、なんか儲かってそうじゃないですか。僕たちは今、飲みながら、いったい何をやったら儲かるのかって話してたところだったんで』へえ。そうですか。(中略)でもね、同じ居酒屋で隣り合って飲んでるわけだから、あなたたちが自らを卑下するほどには、私たちも豊かではないと思うよ。(彼らは『トヨタ』を漢字で書くことができるのだろうか、と、ふと思いつつ)」
「強く言葉を発したのは経営者の彼女である。『向上心がなくて勉強もせず、平日の早い時間から連日飲んでいる男の子なんて、うちでは絶対に雇わない。スタッフにはお願いして仕事をしてもらってんだから。お願いしたくなる子じゃないと雇わない!』そうだよね。彼らに年間300万円以上も払っているトヨタは偉い」
この日記は06年11月18日以降に削除された模様で、現在では閲覧することはできない。しかし、削除以前には、この日記のコメント欄には「忠告」が書き込まれていた。
「先方の会社名を実名でブログに書いたりすると、容易に個人(期間工のことと思われる)が特定されます。(中略)私は少々怖がりなのかもしれませんが、池内さんだけではなく、池内さんの家族の為にも慎重になったほうがいいのかもしれません」
結果的に問題となった日記は削除される
ネット上の現状からすると、ある意味適切なコメントであったが、池内さんは「削除」を拒否した。
「・・なるほど。そういう時代なんですね。私も怖がりです。でも発言しなければならないことは発言します。この記事の場合は、企業名を伏せると意味が通らなくなりますし、『企業側が雇用すべくはたらきかけても、継続して勤務をすることができない若者』の問題が大きいと感じています。これは日本の将来に関わる大きな問題です。したがって、この記事は削除しません」
と06年10月23日に返答している。
しかし、結果的に池内さんは該当する日記を削除。06年11月18日には「評論家の池内ひろ美さん、期間工はトヨタを漢字で書けるのかと侮辱→記事削除」と題されたスレッドが、ネット上の掲示板2ちゃんねるに立てられ、06年11月20日夕方時点でその数は5に上っている。
殺到したコメントは、批判や罵詈雑言などがほとんどで、06年11月20日夕方時点で1,000を超えた。なかには、コメント欄には「期間工」だという人の批判のコメントもある。
「トヨタはトヨタかTOYOTAです。漢字はありません」「職業差別って楽しいですか 人を卑下することって楽しいですか 虐めってなんかこう自尊心が蘇ってくるんですよね」「日頃から色々な職業の人間を馬鹿にしてそうですね」「あなたには必要ない人間かもしれないですがトヨタには必要な人間だからトヨタは300万以上払っているのでは?そもそも その言い草が失礼なんでは?」「ネットという公の場であれだけの差別発言をしておいてなんの釈明もなさらないのですか?」
といったもので、期間工に対する池内さんの発言が「職業差別」と捉える見方が大勢だ。
06年11月19日朝には「池内ひろ美」と名乗る人が
「もう悪質なコメントやめていただけませんか?ブログ閉鎖させる気ですか?」
と書き込んでいる。投稿されたコメントの表示は19日夕方の時点で停止している。