自民党新総裁と野党第1党の直接対決「安倍VS小沢」が、2006年10月18日の党首討論で初めて実現した。新聞各紙は「攻めあぐねた小沢氏」(日経新聞)といった内容で、小沢代表に厳しい評価を下している。ただ、討論は盛り上がりに欠け、ネット上ではあまり話題になっていない。
所信表明演説から原稿の棒読みが目立ち、「党首討論が怖い」と党内からも心配されていた安倍首相と、民主党党首に再選された直後に入院して健康状態が懸念されていた小沢代表。二人の党首討論で議論が交わされたのは主に2点で、「憲法改正」と「周辺事態」。2006年10月19日付けの新聞各紙の社説は、その多くが「周辺事態」での議論を取り上げ、小沢代表に対して厳しい評価を下している。
小沢質問の「切れ味のなさ」を指摘
新聞各紙の社説からも小沢代表の「切れ味のなさ」が伝わる
日経新聞は「緒戦は攻めあぐねた小沢氏」と題し、「いま一つ議論がかみ合わなかったのは小沢氏の質問が抽象的で、その意図が明確に伝わらなかったからだろう。もっと手短にして、テンポよく質問するなどの工夫が要る」と小沢代表の質問の「切れ味のなさ」を指摘している。
読売新聞は、「『国難』というべき事態に民主党はどう取り組むのか。それがさっぱり見えてこない」と、北朝鮮の核実験をめぐる「周辺事態」の解釈についての議論で、小沢代表が具体的な姿勢を示していないと指摘。さらに、「(民主党は)具体的な対処方針を示さず、『責任をまっとう』できるはずはない」と述べるなど、民主党の姿勢自体も手厳しく批判している。朝日新聞も「小沢氏は体調不良による入院から復帰してまだ2週間で、本調子ではなかったのだろうか」と、小沢代表の答弁が鋭さにかけた、と指摘している。
ただ、小沢代表の評価が低いとはいえ、安倍首相の評価が高いというわけではない。
朝日新聞は「首相の方も民主党の政策の矛盾を突くといった攻撃姿勢は見せなかった。拍子抜けの印象は否めない」とし、産経新聞は「一方で首相も周辺事態の認定に言及を避けるなど、具体論には踏み込まなかった」と評している。新聞各紙の党首討論の評価は、両党首のかみ合わない議論で「結局は盛り上がりに欠けた」ということになりそうだ。