名前に「おとこ」を付けた商品がブレイクしている。「男性向けガム」として売り出したカネボウフーズの「オトコ香る。」は売れすぎて商品供給が追いつかず、発売してわずか3週間足らずで販売休止に追い込まれた。ほかにも次々とブレイクしている。「おとこ」を付けるとなぜ売れるのか。
「オトコ香る。」は独自の技術で開発し、食べると体から香り成分が発散するという男性向けのガム。その目新しさが手伝って生産が追いつかなかった。ファッション、ひいては香りに対して敏感になってきた男性をターゲットにして、大ブレイクした。
男も日傘で紫外線から肌を守りたい
「男」の字が印象的な「男前豆腐」は主婦のあいだで人気
二番手は、「男の日傘」。大阪市の傘店老舗の心斎橋みや竹は2000年から若年層の男性向けの日傘を売り出し、06年8月後半では女性向けの日傘を上回る売り上げだったという。大好評の理由を、店主は次のように語る。
「日焼けが男っぽいと言われてきた時期もあったが、今では男性用化粧品も続々と登場するなど、男性も肌を紫外線から守ろうとするようになった。日傘の合理性が男性にも認識されつつあるし、それを文化に根付かせたいと思って提案してます。男性の意識も変わってきたし、手ごたえはある」
男性向けの日傘は、外回りの多い営業マンのあいだで特に好評だという。
「オトコ香る。」ガムと男性向け日傘の場合を見てみると、香りや肌のケアなど、以前は「女性が気にするもの」が、男性にも意識されるようになったのが、ブレイクの大きな理由であるようだ。
しかし、意外なことに「おとこ」と付けた商品のなかには女性をターゲットにしてブレイクした商品もある。
江崎グリコが販売している「メンズポッキー」は、96年秋から発売している息の長い商品だ。「メンズ」という名前が付いているが、実は女性向けに開発された商品だ。同社の広報は、
「男の子の気分で食べる、彼に食べさせたいというコンセプトで当初開発されました。発売当時は、男性のものを女性と共用するとか、女性が身につけるといったことがウケた時代でもあったようです」
90年代からはユニセックスの衣服や「男っぽい女性」がウケ、女性のなかには男性用の香水を好んで身につける人もこの頃から出てきた。こうした余波が現在でも続いているのか、「メンズポッキー」は発売から安定した売り上げを保っているという。